住宅ローンを残して亡くなってしまった場合の相続

住宅ローンを残して亡くなってしまった場合

 

住宅ローンは長期間に渡る契約内容になっていますので,その返済途中で,住宅ローンを借りた方が亡くなることもしばしばあります。

住宅ローンには,基本的に,住宅ローンを借りた方に生命保険(団体信用生命保険)を住宅ローンと共に契約しており,住宅ローンを組んでいる方の約95%が加入しています。

この保険は,住宅ローンを借りた方が死亡や高度障害になり住宅ローンの支払いができなくなった場合に備えた保険で,死亡当時の住宅ローンの残債全額が保険金で支払われるものです。

この保険金によって,住宅ローンは完済となりますので,以後,住宅ローンを相続人が支払う必要もありませんし,不動産も,相続人の方が負債のない不動産として相続することができます。

 

 

相続人が,保険の存在を知らず,住宅ローンの返済を継続していた場合

 

住宅ローンを借りた方が死亡した後に,住宅ローンの返済は銀行口座からの引落しがほとんどですので,預金残高があり,銀行に届け出なければ,毎月引落しが実行されます。

上記保険に加入していたことを知らない相続人の方で,銀行に死亡届をせず,そのままにして,住宅ローンの返済が継続していた場合はどうなるのでしょうか?

この場合は,団体信用生命保険契約においては,住宅ローンを借りた方が亡くなった時点で保険金が支払われることになっているので,本来であれば,支払う必要のないものを支払い続けたことになる結果,死亡後に支払ったものの返還を受けることができます。

しかし,住宅ローン債権者は(銀行等)は,相続人から情報を提供しない限り,詳しい状況が分かりませんので,事情を説明する必要があります。

 

住宅ローンに関する抵当権抹消の手続き

 

団体信用生命保険金で,住宅ローンの残債がなくなると,次に行うのは,不動産に設定された抵当権の抹消手続きです。

保険金で住宅ローンが完済になっても,金融機関(銀行等)は,自動的に抵当権の抹消手続きを行ってくれることはありません。

まず,住宅ローン債権者から住宅ローンの金銭消費貸借契約書や抵当権設定契約証書など,抵当権を抹消するための書類を送ってくるか,または銀行に受け取りにくるようなご案内があります。

金融機関(銀行等)がやってくれるのはここまでです。

抵当権抹消に必要な書類を受領した相続人の方は,ご自身で管轄法務局に行って抵当権抹消の手続きをするか,あるいは司法書士に抵当権抹消の手続きを依頼することになります(銀行等から受領した書類の中に,このような案内もあります。)。

抵当権の抹消登記には,登録免許税を支払う必要があり,登録免許税の額は,不動産1つあたり1000円となります(土地1筆と建物1棟であれば2000円)。

なお,同一管轄の法務局で20物件を超える場合には,申請1件あたり2万円が上限となります。

銀行等から書類が送られてきたら,できるだけ早い段階で,抵当権抹消の手続きされた方がよろしいかと思います。

たまに見かけますが,銀行から受領した抵当権抹消書類を何年間も放置した結果,書類の紛失や,抵当権者の合併,あるいは,次の相続が発生するなどして,書類を受領した段階で抵当権抹消登記申請をしていれば,比較的簡単に終えることができた手続きが,大変複雑になってきてしまいます。

 

ここで大きな注意点ですが,上記の抵当権抹消登記申請の前に,相続による不動産の所有権移転登記を行わなければならないということになります。

つまり,当該不動産の所有権を相続人に移転し,その後に,抵当権の抹消登記申請をする,ということになります。

なぜかというと,時系列的に,住宅ローンを借りていた方が死亡し,それにより保険金が支払われて住宅ローンが完済となったため,抵当権を抹消できるのは,不動産を所有した相続人からの申請に基づいて行われるため,その前提として,所有を相続人として所有者の移転手続きを前提として行わなければならないのです。

抵当権抹消登記申請の前に,所有権者を,住宅ローンを借りていた方から相続人に変更しなければ,物権変動の過程を忠実に反映させるというという不動産登記法上の要請にも応えられないため,このような流れになるのです。

似て非なるものとして,相続が発生する前(住宅ローンを借りた方が死亡する前)に,住宅ローンを完済した場合(住宅ローンを組んだ方が繰り上げ返済や約定返済によって完済)には,物件変動の順番としては,住宅ローンの完済の後に死亡と続くため,所有者(権)の移転登記を行うことなく,抵当権の抹消登記申請を,相続人が行えることになります(その後に相続による所有権移転をしても問題なし)。

簡単に区分すると,住宅ローンを完済したとき(抵当権抹消原因が発生したとき)に,住宅ローンを借りた方が生きていたのか,あるいは亡くなっていたのかで区別すると理解しやすいと思います。

 

団体信用生命保険と相続税

 

通常の生命保険ですと,保険金が相続人に支払われた場合,みなし相続財産となりますが,団体信用生命保険は,相続人には支払われる性質のものではありません。

したがって,通常の生命保険とは異なり,みなし相続財産には該当しません。

また,相続税で,債務控除というものがありますが,住宅ローンの残債は,相続開始時において確実な債務ということができず,住宅ローンの残債は,死亡と同時に保険金によって完済となるため,これを債務控除することはできません。

以上の結果から,

①団体信用生命保険金は,相続財産に加えない。

②住宅ローンの残債は,債務控除しない(できない)。

③住宅ローンの抵当権が設定された不動産を負債のない不動産として評価する。

ということになります。

 

 

それでは,団体信用生命保険に入っていなかった場合はどうでしょう?

 

相続人の方は,住宅ローンの残債(負債)を法定相続分の割合に従って引き継ぐことになります。

住宅ローンを借りた先(銀行等)には,相続の届出と,今後,誰が住宅ローンを支払っていくのか,所定の書面の提出を依頼されます。

債務も遺産分割の対象とすることができますが,債務については,対債権者の関係もあることから,この債権者(住宅ローン債権者)の同意なく,引き継ぐ債務の割合を相続人間で勝手に遺産分割協議で決めたとしても,相続人間では有効であるものの,住宅ローン債権者に対しては,遺産分割で決めた法定相続分とは異なる割合を対抗することができません。

これは,遺産分割協議によって,資力のない相続人に集中させることも考えられるところ,このような自由があると,債権者に不当な不利益を課してしまうことになるからです。

そのため,銀行等に対し,ある特定の相続人が引き継ぐものと届け出たとしても,その特定の相続人が住宅ローンの支払いをストップするようなことがあれば,他の相続人に対し,相続分に応じて請求していくことになるでしょう。

このような不安定な立場を解消する方法として,免責的債務引受といって,特定の相続人が,他の相続人の債務も全て引継ぎ,引継ぎをした他の相続人は,住宅ローン債務から逃れることができます。

しかし,これは,銀行等の同意が必要でありますし,かつ,特定の相続人(引き継ぐ人)の審査(住宅ローンを借り入れる際に行う審査同様)を行い,その審査をクリアーしてはじめて,他の相続人は相続した住宅ローン債務から離脱できるのです。

または,住宅ローン債務を引き継ぎたくない相続人の方は,相続放棄をすることもできます。

相続放棄の申述が家庭裁判所で受理されれば,住宅ローンの支払い義務は原則なくなりますが,相続登記をして名義人となったり,亡くなられた方の預貯金を取り崩して自己のために費消したりするなどした場合は,単純承認したものとみなされ,相続放棄の申述が受理されない場合もあり得ますので,相続放棄をするかどうか迷ったら,亡くなられた方の遺産には一切関わらない(手を付けない)ことが賢明です。

相続放棄申述が受理されるか

相続人が,被相続人名義の預貯金を解約して,解約した金銭で墓石を購入した行為が,民法921条1号の「相続財産の処分」に当たるか。

 

≪参照条文≫

第921条

次に掲げる場合には,相続人は,単純承認をしたものとみなす。

1 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第602条に定める期間を超えない賃貸をすることは,この限りでない。

以下略

 

≪判旨≫

被相続人の死後,被相続人名義の預金を解約し,墓石購入費に充てた行為が,民法921条1号の「相続財産の処分」に当たるとして,相続放棄の申述を却下した審判に対する抗告事件において,預貯金等の被相続人の財産が残された場合で,相続債務があることが分からないまま,遺族がこれを利用して仏壇や墓石を購入することは自然な行動であり,また,本件において購入した仏壇及び墓石が社会的にみて不相当に高額のものとも断定できない上,それらの購入費用の不足分を遺族が自己負担としていることなどからすると,「相続財産の処分」に当たるとは断定できないとして,原審判を取り消し,申述を受理した事例(平成14年7月3日大阪高等裁判所決定/平成14年(ラ)第408号)

 

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預貯金債権の相続手続き

【預貯金債権の相続について】(遺産分割の対象になるか)

 昨日(平成28年12月19日)の最高裁決定が出るまでの間は,預金債権について,「相続開始(被相続人の死亡)と同時に当然に相続分に応じて分割され,各共同相続人の分割単独債権となる」ことから,遺産分割の手続を要しないものであって,そもそも遺産分割手続の対象とはならないこととされて裁判実務が運用されておりました。

つまり,相続した預金債権については,不動産などと違って遺産分割をするまでもなく,相続開始と同時に,各相続人の相続分に応じて分割承継が既になされる状態になっているのだから,遺産分割の対象とはならない,ということでした。

一方,家庭裁判所で行われる遺産分割調停等においては,預金債権も遺産分割の対象とする合意があれば,遺産分割の対象とする例外運用はなされていました。

もっとも,相続開始と同時に相続分に応じて分割されるからといって,共同相続の場合において,銀行の窓口に行って「私の相続分だけを払い戻してほしい」と言っても,相続人全員の印鑑証明書を持ってきてほしいなど,法律上は直ちに分割されているとはいえ,銀行実務では,二重払いの危険などの理由からこの運用はされてきませんでした。

なお,それに納得できない相続人は,自己の相続分について,預金払い戻しに関する訴訟を提起すれば,裁判所は,当然分割承継説ですので,勝訴判決が出ていたものです。

 

昨日の最高裁決定の原審(大阪高裁)も「本件預貯金は,相続開始と同時に当然に相続人が相続分に応じて分割取得し,相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とならない」などとしたものの,最高裁は,それを次のような理由から,原審の決定を破棄して,事件を大阪高裁に差し戻したものです。

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相続のおける相続税について

相続税の基礎知識

1 相続税とは

相続税は,個人が被相続人(亡くなられた方)から相続などによって財産を取得した場合に,その取得した財産に課税されるものをいいます。

2 相続税の申告が必要な場合とは

被相続人から相続などによって財産を取得した人それぞれの課税価格(後述します)の合計額が,遺産に係る基礎控除額を超える場合,その財産を取得した人は,相続税の申告を,10か月以内にする必要があります。

基礎控除額とは,

3000万円+(600万×法定相続人の数)となります。

なお,相続放棄をした方がいても,その方も法定相続人の数に含めますが,養子がいる場合,実子がいるときは1人まで,実子がなく養子しかいない場合には2人までについて,法定相続人の数に加えることができます。

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不動産の相続登記手続きについて

 不動産の相続登記手続きについて

不動産を所有している方が,不幸にしてお亡くなりになった場合,避けて通れないのが,不動産の相続登記手続きです。

不動産の相続登記手続きは,いつまでにしなければならない,という期限は法律上設けられておりませんが,年数の経過により,相続人の方がさらにお亡くなりになり,二次相続が開始することもあります。

当初,相続人が3名であったものが,放置していたことにより,5名,6名・・・と相続人が増えていくことも珍しいことではありません。

関係者が増えていくということは,その分,集める書類も多くなりますし,遺産分割協議をする場合においても関係者全員で調整を図らなければなりません。

相続登記手続きを行う際に,必要なことをまとめてみます。

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嫡出子と非嫡出子の相続分

嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)の相続分は,従来,平等ではなく,非嫡出子は,嫡出子の2分の1と定められていました。

嫡出子とは,法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子で,非嫡出子とは,法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子をいいます。

子の父親(婚姻関係にない子を法律上子と認められるためには認知が必要)は,婚姻していようとしていまいと自分の子に変わりはなく,また,子の母親は,出産の事実から婚姻していなくても母親になりますので,両親が,婚姻関係にあろうとなかろうと,子には何も責任がないにもかかわらず,この不平等な取り扱いは,平成25年9月4日の最高裁の決定が出るまで変わることはありませんでした。

この最高裁決定では,憲法第14条に規定する法の下の平等に反するとして,嫡出子・非嫡出子の相続分は平等であるとしたのです。

これにより,民法第900条4号ただし書き中「嫡出子でない子の相続分は,嫡出子である子の相続分の2分の1とし」という部分が削除されることになりました(平成25年12月11日施行)。

これを受けて,法務省民事局長の通達(民法の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記等の事務の取扱いついて)が発せられることとなりました。

同通達において,「第1 改正法の概要」の中で,

①嫡出子も非嫡出子も,相続分は同等とする。

②施行期日は,公布の日(平成25年12月11日)から施行する。

③改正法は,平成25年9月5日以降に開始した相続について適用し,同月4日以前に開始した相続については,何ら規定するものではない。

次に,同通達「第2 不動産登記等の事務の取扱い」として,

①平成25年9月5日以降に開始した相続については,新民法(相続分平等)を適用する

②平成25年9月4日以前に開始した相続について,最高裁決定は,「本件規定(旧民法900条4項)は,遅くとも平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたものというべきである」と判示しつつ,旧法の不平等な規定を前提としてなされた「遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではない」とされた。

③平成25年12月11日以降にされる不動産登記等の申請であって,平成13年7月1日以降に開始した相続における法定相続(遺言や遺産分割等によることなく,被相続人の法定相続人となったこと自体に基づき,法定相続に応じて不動産等を相続したこと)に基づいて,権利を取得した者を登記名義人とする登記を申請する際は,嫡出子も非嫡出子も同等であるものとして事務処理をする。

④平成25年12月11日以降に申請で,平成13年7月1日以降に開始した相続で遺言や遺産分割等に基づいて登記をする場合には,当該遺言や遺産分割等の内容に従って事務処理をすれば足りる。

⑤平成25年12月11日以降にされる申請で,平成13年7月1日以降に開始した相続における法定相続に基づいて権利を取得した者の登記に係る更正の登記を上記③④以外の申請等については,当該登記の原因に応じて,最高裁の判示する「本件規定の前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判,遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係」に基づくものであるかどうか等を判断して事務処理をする。

 

この通達により,平成25年9月5日以降に発生した相続については,嫡出子も非嫡出子も相続分は平等であるとして事務処理をする,ということになり,平成25年9月4日以前に開始した相続については,

平成25年12月11日以降にした不動産登記等の申請で,相続の開始が平成13年7月1日以降のものについて法定相続により登記をする場合は,嫡出子・非嫡出子の相続分は同等として事務処理をする。

ただし,法定相続ではなく,遺言や遺産分割協議等に基づく登記等の申請については,その遺言や遺産分割協議の内容に従って処理すればよい。

また,平成13年7月1日以降に開始した相続で,法定相続により登記をしたものの,その更正などの登記をするときは,確定的なものとなった法律関係は覆らないことを勘案して事務処理をする,としております。

相続の開始した日によって取り扱いが異なってきますので,注意が必要です。

 

千葉県民司法書士事務所のオフィシャルサイト  http://chiba-shihoshoshi.com/

法定相続情報証明制度(仮称)について

法務省は,相続手続きを簡素化するため「法定相続情報証明制度」(仮称)を来年度に始めるそうです。

今のところ,相続が発生して,不動産や預貯金,有価証券,相続税の申告をする際,それぞれの手続きごとに,被相続人の出生から戸籍(除籍)関係書類を提出しなければなりませんでした。

申請する側も,戸籍資料一式を整えて窓口に出向いて手続きを行い,一方,手続きを実施する法務局や銀行の担当者も,一から戸籍を確認していかなければなりませんでしたが,この新制度が運用されると,相続発生後,被相続人の出生からの戸籍書類一式を揃え,相続関係説明図を添付して法務局に申請をすれば,相続関係説明図に,登記官の奥書(「これは,法定相続情報の写しだと証明する。」旨)がされ,この証明書1通があれば,相続手続きを行う際,いちいち戸籍資料一式を各手続きの窓口で提供をしなくても済むようになります。

相続人や金融機関の負担軽減を図ることと,相続登記を促して空き家の問題を減少させようとの目的があるようです。

年内にパブリックコメントを実施し,来年5月の開始を目指しているとのことです。

詳細は,今後決まってきますが,最初の手続きだけ済ませてしまえば,その他の手続きが迅速化されていくものと思われます。

また,被相続人が,不動産を所有していた場合,相続登記の申請と共に「法定相続情報証明申請」を行えば,不動産登記完了と共に,この証明書が出来上がってくるイメージになるかもしれません。

そうであるとすれば,不動産を所有してお亡くなりになられた方が,まず行う申請手続きは,不動産登記の相続手続きになるかもしれません。

なぜならば,相続により不動産登記申請の際,戸籍資料一式と相続関係説明図は,実務上セットで申請書に添付書面として法務局に提出するからです。

そして,相続による不動産の名義変更が完了したときに発行される,法定相続情報証明書を受け取り,次に,金融機関での預貯金の相続手続きであったり,有価証券の相続手続きなどを行うことが想定されます。

不動産をお持ちでなかった方については,預貯金が多数の金融機関に分かれていたりした場合には,一度,法務局で申請をし,証明書をもらって各銀行の手続きを行えば,時間の節約につながることは間違いありません。

証明書も,1通ではなく,複数枚発行(金融機関の数分)してくてくれるとなれば,1日で各銀行を回って手続きを済ませることも可能かもしれません。

なお,証明書は無料との構想ですが,2枚以上はさすがに,有料になるのかもしれません。

千葉信用金庫の相続手続き

1 まず初めに,千葉信用金庫の窓口に行って,相続が発生した事実を伝えると共に(原則,これで,被相続人の口座が凍結されます),相続手続依頼書をもらい,この相続手続依頼書に,相続人全員の自署と実印での押印をすることになります。

2 どの金融機関でも同じですが,被相続人の出生から死亡までの除籍謄本,改製原戸籍等を市区町村役所で取得します。

また,相続人の現在の戸籍謄本も必要になります。

3 上記1の相続手続依頼書に押印した実印に関する印鑑証明書を市区町村役所で取得します(印鑑証明書だけは,発行から3か月以内のものが必要です)。

また,海外に居住されている相続人については,大使館や領事館で発行するサイン証明書及び在留証明書が必要になります。

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司法書士の遺産整理・遺産承継業務

司法書士が行う財産管理

はじめに,司法書士が業務として,第三者の財産の管理や処分,遺産(管理)承継業務,企業法務,事業承継のサポート,成年後見人や相続財産管理人,不在者財産管理人,遺言執行者等の地位に就職するなど,これらを行える根拠はどこにあるのでしょうか?

 

1 平成14年の司法書士法改正により,司法書士法29条1項1号を受けて,司法書士法施行規則31条が規定されるに至りました。

司法書士法施行規則31条では,司法書士法第29条第1項第1号の法務省令で定める業務は,次の各号に掲げるものとして,

 

 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,管財人,管理人その他これらに類する地位に就き,他人の事業の経営,他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し,若しくは補助する業務

 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,後見人,保佐人,補助人,監督委員その他これらに類する地位に就き,他人の法律行為について,代理,同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務

 司法書士又は司法書士法人の業務に関連する講演会の開催,出版物の刊行その他の教育及び普及の業務

 競争の導入により公共サービスの改革に関する法律(平成十八年法律第五十一号)第33条の2第1項に規定する特定業務

 法第3条第1項第1号から第5号まで及び前各号に掲げる業務に附帯し,又は密接に関連する業務

 

なお,弁護士法にも同様の規定があり,弁護士法人及び外国法事務弁護士法人の業務及び会計帳簿等に関する規則第1条では,弁護士法第30条の5に規定する法務省令で定める業務は,次の各号に掲げるものとして,

 

 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,管財人,管理人その他これらに類する地位に就き,他人の事業の経営,他人の財産の管理若しくは処分を行う業務又はこれらの業務を行う者を代理し,若しくは補助する業務

 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,後見人,保佐人,補助人,監督委員その他これらに類する地位に就き,他人の法律行為について,代理,同意若しくは取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務

 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により,他人の業務及び財務の状況,変態設立事項,資産の価格その他の法律事務に関連する事項について,調査してその結果を報告し,又は証明する業務

 弁護士又は弁護士法人の業務に関連する講演会の開催,出版物の刊行その他の教育及び普及の業務

 法律事務に附帯し,又は密接に関連する業務

御覧いただいて分かるとおり,第1号及び第2号は,一字一句違わない規定振りとなっています。

これが第三者の財産を管理・処分できる明文規定ということになります。

なお,他士業(弁理士・行政書士・公認会計士・税理士・社会保険労務士・海事代理士・中小企業診断士等)で,このような明文でもって他人の財産管理及び処分ができる旨の定めが規定されている士業はありません。

 

2 細かく内容をみていきましょう。

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ゆうちょ銀行の相続手続き

ゆうちょ銀行の相続手続き

多くの方が,ゆうちょ銀行に口座をお持ちだと思います。

ゆうちょ銀行の相続手続きで,他の銀行等と違って便利な点は,全国,どこにでも郵便局があり,どこでも手続きが可能であることが挙げられます。

地方銀行ですと,他県に転居などした場合,転居した先に店舗がない場合も多くあります。

また,一部の信用金庫では,口座を開設した店舗でないと相続手続きができないところもあります。

そう考えると,ゆうちょ銀行の場合,相続手続きは,自分(相続人)の住んでいる近くの郵便局で手続きができるため便利です。

また,ゆうちょ銀行は,統一された運用があるため,次のとおりの段取りで相続手続きを行うことになります。

 

1 相続確認表の所定の事項を記載

亡くなられた方(被相続人)がゆうちょ銀行の口座があったのか,あるいはなかったのか不明の場合もあると思います。

記号番号が不明の場合には「貯金等照会書」に必要事項を記載して窓口に提出することになります。

 

2 後日,必要書類のご案内という封筒がご自宅へ届きます。

先に提出した相続確認表に基づき,必要な書類一覧が同封されています。

相続される方が,被相続人の子なのか兄弟姉妹なのかに応じて,必要となる書類を個別に教えてくれます。

基本的に,相続に関する必要書類は,どこの金融機関でも同じものが要求されます。

①被相続人(お亡くなりになった方)の戸籍(除籍)(原戸籍)謄本(出生から死亡までの連続したものが必要)

※遺言がある場合には,出生までさかのぼらず,死亡の記載のある除籍謄本だけあれば大丈夫です。

②相続される方の戸籍謄本(現在の戸籍)

③相続される方が兄弟姉妹の場合は,①の被相続人の出生からさらに遡って両親の戸籍(除籍)(原戸籍)謄本(出生から死亡まで連続したもの)も必要になります。

④相続人全員の印鑑証明書(市町村発行後3か月以内)

⑤被相続人の預金通帳,証書,キャッシュカード(ない場合には,紛失の手続きを相続人が行うことになります)

 

3 必要書類の提出

原則,相続確認表を提出した郵便局に,原本を提出します(手続きをした郵便局に提出してください,と書かれてあります)。

なお,原本は,郵便局でコピーを取っていただき,返還をしていただくことが可能ですし,後日,返還を受けることもできます。

 

4 代表相続人の通常貯金口座に払い戻しの場合には送金されます。

なお,ゆうちょ銀行に口座がない場合には,新たに作成して,この口座に入金してもらうか,あるいは払戻証書を送ってもらい,後日窓口で現金で受け取ることもできます。

 

一般的には,ゆうちょ銀行の相続手続きの場合,何回,店舗に出向くことになるのでしょうか?

①相続の発生した事実と相続確認表をもらいに,窓口に行きます。

必要事項を,その場で書ければよいのですが,一旦自宅に戻ってから書かれる方も多くいます。

②相続確認表など,①でもらった書類に必要事項を記入の上,窓口に提出します。

③ゆうちょ銀行から,手続きの説明が書かれた書類などがご自宅に送られてきます。

④当該相続手続きに必要となる書類を集めます(場合によっては,遺産分割協議書を作成することもあります。)。

⑤ゆうちょ銀行定型の書類に必要事項を記載し,相続人全員の実印を押印し,必要書類として記載されていた戸籍謄本等と共に窓口に提出します。

⑥現金で受領される場合には,払戻証書によって現金の受け渡しを行うため,窓口へ行って手続きを行います。

 

これら一連の手続きを一括して,当事務所に手続きを依頼することができますので,お気軽にお尋ねください。

千葉県習志野市津田沼・京成津田沼駅前の千葉県民司法書士事務所のオフィシャルホームページ ⇒ http://chiba-shihoshoshi.com/